母の付き添い
- 2014.09.30 Tuesday
- 12:11
週末に、母の手術の付き添いのため帰省してきました。
高齢者にとても多い症状で、命に関わるような手術ではありません。付き添いぐらいなら、同居している父でも務まるのではないかと思ったのですが、「娘さんに来院して頂けるようなら、ぜひそうしてください」と言われたとか。父では役不足だったようです。80歳を過ぎると世間ではそう見られても仕方ないのかね……と思いながら病院へ向かいました。その父も一緒に来てくれました。
父は少し耳が遠くなりましたし、母は同じ話題を何度も口にすることが多いですが、いずれも年齢なりの程度で、日常会話も問題なくできます。それは私のひいき目かもしれませんし、「自分の親だけはいつまでも元気だ」と思い込んでいるからかもしれません。
しかし、病院の一部のスタッフの対応には、いささかうんざりさせられました。
とにかく患者(母)にくどいほど確認し、復唱させる。医療事故を未然に防ぐための対策があって、その通りに進めなければいけないのだろうと見当がつきます。
わかるんですけどね、頭では。
話はそれますが、テレビでレポーターがご年配の方に「うわあ、おばあちゃ〜ん、よかったですねえええ」と、まるで子どもに接するような態度でインタビューするのを目にすることがあるのですが、私、あれが嫌いなのです。
ご老人はニコニコして応じていて、さすが年の功だなあと感心します。私が将来年を取ったときに、あの寛容さが身についているでしょうか。同じ状況に置かれたら「私はアンタのばあさんじゃないよっ!」とかみついてしまいそうです。
ともかく、それに近いタイプの看護師さんがいたのです。
私の嫌いなタイプのレポーターは愛想があるだけまだマシなのですが、私には「こっちだって何度も聞きたくないわよ、面倒だし。でもマニュアルに書いてあるんだから」と言わんばかりの態度に受け取れました。
私も両親に対しては、ほじくり返せばそれなりに愚痴も言いたくなるし、わだかまりがすべて消えたわけではありません。
しかし、それはそれ。親を頭ごなしに年寄り扱いされて、気分が良いわけがありません。
親にとどまらず、ある看護師さんから「緊急連絡先に書かれてある電話番号、これは娘さんのですか?今その携帯電話をお持ちですか?記入された番号に間違いがないかどうか確認しますので、携帯電話の画面を開いて、番号を表示してください」とまくし立てられたときには、遠慮のない広島弁が口を突いて出そうになりましたが、当事者の母が遠慮がちにしていたので思いとどまりました。
私の感情がもろに顔に出ていたのでしょう。その看護師さんが立ち去ったあとに、一連のやりとりを見ていた父がボソッと「(携帯電話の番号を)書かなきゃ、えかったの」とつぶやきました。
いっぽう、手術後に対応してくれた看護師さんはとても気持ちよく対応してくださいました。私より年上に見えましたので、もしかしたらご自身も家族の介護を経験されたのかもしれないと想像しました。
要は聞き方、たずね方の問題なのでしょう。
私の実家は市内でもかなり交通の便の悪い町にあります。今回母が手術を受けた「科」は、町にはその病院しかありません。私のような付き添いの家族も含めてですが、ざっと40人ぐらいが、さほど大きくない個人病院の待合室に座っていました。母の話では、車で小一時間かかるようなところからも通院している患者さんもいるのだとか。
田舎といえど市街地に近い町には、公立病院もちゃんとあります。
話は2,3ヶ月前にさかのぼりますが、私は母から「主治医に紹介状を書いてもらって公立病院に入院し、手術を受けるか」または「入院施設はないが、いつもかかっている町の病院で日帰り手術を受けるか」電話で相談を受けていました。
夫の家族が同じ症状で手術を受けたことがあったので相談に乗ってもらい、そのうえで母には入院をすすめたのです。
しかし母は「手術の後はもとの病院に通うわけだし、お世話になっている先生に悪いし」という理由で、入院設備のない、かかりつけの病院で日帰り手術を受けることに決めてしまったのでした。
母が「この辺りは年寄りばかりだし、病院も少ないし。内科でも外科でも、先生に嫌われたらねえ……」とこぼしていたのが気になりました。 母は昭和ひとケタの生まれだからか、元来の性分からなのか、我慢強いのが度を越して、言うべきことも伝えないふしがあります。いまさら母の価値観や性格を変えることはできません。
それだけに、娘の私よりずっと年下の看護師さんから、まるで母が記憶力や理解力が無いかのように、処方薬の用法や術後の自宅での過ごし方をくどくど伝えられ、復唱させられる様子を目のあたりにして、そんなに母のオツムが信用できないなら、最初から入院できる病院にまわせばいいのに、と思ってしまいました。病院(ドクター)が選べない環境は、家族として非常に不安になりました。不安というより、イライラすると言ったほうが近いか。
母には「大病を患わないに越したことはないけど、もし今後大きな病気になったり、膝や腰の手術が必要になったら、私に迷惑をかけちゃいけないとか思わないで、かならず相談してね」と伝えておきました。
私は一人っ子なので以前から覚悟はしているのですが、おかげさまで両親がともに元気なこともあって、この歳になるまで本気で考えたことがありませんでした。いい加減シミュレーションをしておく頃なのかと今さらながら思い知らされております。
高齢者にとても多い症状で、命に関わるような手術ではありません。付き添いぐらいなら、同居している父でも務まるのではないかと思ったのですが、「娘さんに来院して頂けるようなら、ぜひそうしてください」と言われたとか。父では役不足だったようです。80歳を過ぎると世間ではそう見られても仕方ないのかね……と思いながら病院へ向かいました。その父も一緒に来てくれました。
父は少し耳が遠くなりましたし、母は同じ話題を何度も口にすることが多いですが、いずれも年齢なりの程度で、日常会話も問題なくできます。それは私のひいき目かもしれませんし、「自分の親だけはいつまでも元気だ」と思い込んでいるからかもしれません。
しかし、病院の一部のスタッフの対応には、いささかうんざりさせられました。
とにかく患者(母)にくどいほど確認し、復唱させる。医療事故を未然に防ぐための対策があって、その通りに進めなければいけないのだろうと見当がつきます。
わかるんですけどね、頭では。
話はそれますが、テレビでレポーターがご年配の方に「うわあ、おばあちゃ〜ん、よかったですねえええ」と、まるで子どもに接するような態度でインタビューするのを目にすることがあるのですが、私、あれが嫌いなのです。
ご老人はニコニコして応じていて、さすが年の功だなあと感心します。私が将来年を取ったときに、あの寛容さが身についているでしょうか。同じ状況に置かれたら「私はアンタのばあさんじゃないよっ!」とかみついてしまいそうです。
ともかく、それに近いタイプの看護師さんがいたのです。
私の嫌いなタイプのレポーターは愛想があるだけまだマシなのですが、私には「こっちだって何度も聞きたくないわよ、面倒だし。でもマニュアルに書いてあるんだから」と言わんばかりの態度に受け取れました。
私も両親に対しては、ほじくり返せばそれなりに愚痴も言いたくなるし、わだかまりがすべて消えたわけではありません。
しかし、それはそれ。親を頭ごなしに年寄り扱いされて、気分が良いわけがありません。
親にとどまらず、ある看護師さんから「緊急連絡先に書かれてある電話番号、これは娘さんのですか?今その携帯電話をお持ちですか?記入された番号に間違いがないかどうか確認しますので、携帯電話の画面を開いて、番号を表示してください」とまくし立てられたときには、遠慮のない広島弁が口を突いて出そうになりましたが、当事者の母が遠慮がちにしていたので思いとどまりました。
私の感情がもろに顔に出ていたのでしょう。その看護師さんが立ち去ったあとに、一連のやりとりを見ていた父がボソッと「(携帯電話の番号を)書かなきゃ、えかったの」とつぶやきました。
いっぽう、手術後に対応してくれた看護師さんはとても気持ちよく対応してくださいました。私より年上に見えましたので、もしかしたらご自身も家族の介護を経験されたのかもしれないと想像しました。
要は聞き方、たずね方の問題なのでしょう。
私の実家は市内でもかなり交通の便の悪い町にあります。今回母が手術を受けた「科」は、町にはその病院しかありません。私のような付き添いの家族も含めてですが、ざっと40人ぐらいが、さほど大きくない個人病院の待合室に座っていました。母の話では、車で小一時間かかるようなところからも通院している患者さんもいるのだとか。
田舎といえど市街地に近い町には、公立病院もちゃんとあります。
話は2,3ヶ月前にさかのぼりますが、私は母から「主治医に紹介状を書いてもらって公立病院に入院し、手術を受けるか」または「入院施設はないが、いつもかかっている町の病院で日帰り手術を受けるか」電話で相談を受けていました。
夫の家族が同じ症状で手術を受けたことがあったので相談に乗ってもらい、そのうえで母には入院をすすめたのです。
しかし母は「手術の後はもとの病院に通うわけだし、お世話になっている先生に悪いし」という理由で、入院設備のない、かかりつけの病院で日帰り手術を受けることに決めてしまったのでした。
母が「この辺りは年寄りばかりだし、病院も少ないし。内科でも外科でも、先生に嫌われたらねえ……」とこぼしていたのが気になりました。 母は昭和ひとケタの生まれだからか、元来の性分からなのか、我慢強いのが度を越して、言うべきことも伝えないふしがあります。いまさら母の価値観や性格を変えることはできません。
それだけに、娘の私よりずっと年下の看護師さんから、まるで母が記憶力や理解力が無いかのように、処方薬の用法や術後の自宅での過ごし方をくどくど伝えられ、復唱させられる様子を目のあたりにして、そんなに母のオツムが信用できないなら、最初から入院できる病院にまわせばいいのに、と思ってしまいました。病院(ドクター)が選べない環境は、家族として非常に不安になりました。不安というより、イライラすると言ったほうが近いか。
母には「大病を患わないに越したことはないけど、もし今後大きな病気になったり、膝や腰の手術が必要になったら、私に迷惑をかけちゃいけないとか思わないで、かならず相談してね」と伝えておきました。
私は一人っ子なので以前から覚悟はしているのですが、おかげさまで両親がともに元気なこともあって、この歳になるまで本気で考えたことがありませんでした。いい加減シミュレーションをしておく頃なのかと今さらながら思い知らされております。
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