なぐるける
- 2012.05.29 Tuesday
- 00:02
バセドー病の治療では、毎月1度、近所の内科の先生にお世話になっていました。
治療を受け始めた頃、私の体型をみて、
「何か運動をしていますか?」
と、いきなりたずねてきて、スポーツの話を始めたのが印象的でした(後からスポーツドクターだとお伺いして納得しました)。
その後も患者さんが少ないときなどは診察から脱線してスポーツ選手の話をされたりなど、なかなか面白い先生でした。
バセドーの症状も落ち着いてきた頃、私が筋トレやジョギングばかりをしているのを見兼ねた?のか「せっかくなんだから何か競技をやってみたらいいのに」とよく言われました。
その日も案の定スポーツの話題になったのですが、ところで○○さん、と私の名を呼び「本当に効果のあるストレス解消法って、何か知ってますか?」
と、急に話題を変えてきました。
先生の持論では、いわく
殴る
蹴る
投げる
刺す
…なのだそうです(※あくまでも先生個人のご意見です)。
「人間はねえ、文明社会以前の、野蛮で残酷なところが残ってるんですね。でもまあ現代でそれをマトモにやらかすと殺人や戦争になりますからね、ルールを決めてやりましょうってのが、スポーツなんですよ」
「だから、ほら、心地のいいイスにゆーったり腰かけて、静かな音楽を聴いてとかいうのはね、あんなのは、ダメです」と言って、ヒラヒラっと顔のそばで手を振りました。
(※あくまでも先生個人のご意見です)
くすくす笑いながら聞いていたら、「ね、だから早く何かスポーツをやりなさい」と念を押されました。オチはそこですか。
先生からはいろいろと話をお伺いしましたが、この持論?がいちばん頭に残っています。先日、グループの仲間内でこの話をしたら、ふだんは温厚なメンバーがなんだかうれしそうな顔をしながら聞いていました。
今年の2月に病院を訪れた時に、先生が入院されていることを受付の方から聞きました。サラリーマンでしたらとうに定年を過ぎている年齢だろうとお見受けしていました。しかし、2年ぐらい前に体調を崩されてお休みされたときもほどなく復帰されたし、まだまだお元気そうだから大丈夫だろうと思い、そのときは特段気にも留めずお薬だけ頂いて帰りました。
ひと月後、ちょうどお彼岸を過ぎたころに、病院から電話がありました。
訃報でした…。
閉院が決まったので、とりあえずの期間のお薬と、次の病院へ渡す紹介状を取りに来てほしいという連絡でした。
精神科のように先生との相性を重視する必要はなかったので、この先生じゃないといけない…ということもなかったのですが、ちょっと風邪を引いた時に立ち寄ったりして、ここ数年間なにかとお世話になった「町のお医者さん」でした。やはりさみしいものです。
その日の夕方に病院へ赴きました。窓口の方は残務処理で見るからに忙しい様子でした。
病院を閉院する旨を伝える文書が窓口のそばに貼ってありました。書類を待っている間に読んでいたのですが、お知らせの日付けが、先生が亡くなられた日よりも前、でもあまり間隔が空いていないように読めました。もう一度日付けを確かめようとしたら、呼び出しがありました。
もしかしたら、閉院が決まって気力が落ちてしまったのかな…。
日付をもう一度確かめようと思いましたが、わざわざ目をこらして見るのも、受付の方にあれこれ聞くのも…きっと同じ事を何人もの患者さんに言っただろうし、聞いてどうにかなるものでもないし…なんだか場にそぐわない気がして、心残りの無いようにあいさつをして帰りました。
先生、お世話になりました。どうぞ安らかに。
…でもやっぱり思い出すのは「なぐるける」のお話です。
治療を受け始めた頃、私の体型をみて、
「何か運動をしていますか?」
と、いきなりたずねてきて、スポーツの話を始めたのが印象的でした(後からスポーツドクターだとお伺いして納得しました)。
その後も患者さんが少ないときなどは診察から脱線してスポーツ選手の話をされたりなど、なかなか面白い先生でした。
バセドーの症状も落ち着いてきた頃、私が筋トレやジョギングばかりをしているのを見兼ねた?のか「せっかくなんだから何か競技をやってみたらいいのに」とよく言われました。
その日も案の定スポーツの話題になったのですが、ところで○○さん、と私の名を呼び「本当に効果のあるストレス解消法って、何か知ってますか?」
と、急に話題を変えてきました。
先生の持論では、いわく
殴る
蹴る
投げる
刺す
…なのだそうです(※あくまでも先生個人のご意見です)。
「人間はねえ、文明社会以前の、野蛮で残酷なところが残ってるんですね。でもまあ現代でそれをマトモにやらかすと殺人や戦争になりますからね、ルールを決めてやりましょうってのが、スポーツなんですよ」
「だから、ほら、心地のいいイスにゆーったり腰かけて、静かな音楽を聴いてとかいうのはね、あんなのは、ダメです」と言って、ヒラヒラっと顔のそばで手を振りました。
(※あくまでも先生個人のご意見です)
くすくす笑いながら聞いていたら、「ね、だから早く何かスポーツをやりなさい」と念を押されました。オチはそこですか。
先生からはいろいろと話をお伺いしましたが、この持論?がいちばん頭に残っています。先日、グループの仲間内でこの話をしたら、ふだんは温厚なメンバーがなんだかうれしそうな顔をしながら聞いていました。
今年の2月に病院を訪れた時に、先生が入院されていることを受付の方から聞きました。サラリーマンでしたらとうに定年を過ぎている年齢だろうとお見受けしていました。しかし、2年ぐらい前に体調を崩されてお休みされたときもほどなく復帰されたし、まだまだお元気そうだから大丈夫だろうと思い、そのときは特段気にも留めずお薬だけ頂いて帰りました。
ひと月後、ちょうどお彼岸を過ぎたころに、病院から電話がありました。
訃報でした…。
閉院が決まったので、とりあえずの期間のお薬と、次の病院へ渡す紹介状を取りに来てほしいという連絡でした。
精神科のように先生との相性を重視する必要はなかったので、この先生じゃないといけない…ということもなかったのですが、ちょっと風邪を引いた時に立ち寄ったりして、ここ数年間なにかとお世話になった「町のお医者さん」でした。やはりさみしいものです。
その日の夕方に病院へ赴きました。窓口の方は残務処理で見るからに忙しい様子でした。
病院を閉院する旨を伝える文書が窓口のそばに貼ってありました。書類を待っている間に読んでいたのですが、お知らせの日付けが、先生が亡くなられた日よりも前、でもあまり間隔が空いていないように読めました。もう一度日付けを確かめようとしたら、呼び出しがありました。
もしかしたら、閉院が決まって気力が落ちてしまったのかな…。
日付をもう一度確かめようと思いましたが、わざわざ目をこらして見るのも、受付の方にあれこれ聞くのも…きっと同じ事を何人もの患者さんに言っただろうし、聞いてどうにかなるものでもないし…なんだか場にそぐわない気がして、心残りの無いようにあいさつをして帰りました。
先生、お世話になりました。どうぞ安らかに。
…でもやっぱり思い出すのは「なぐるける」のお話です。
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