私の力

  • 2012.04.29 Sunday
  • 08:09
今月初めの週末のこと。
いつものようにテレビで野球観戦をしていたのですが、カープの試合が早めに終わったので、チャンネルを切り替えて巨人×阪神戦を見ていました。

試合は阪神が接戦を制しました。ヒーローインタビューは勝利投手となったスタンリッジ選手。インタビューの締めとして「それでは甲子園のファンのみなさんに日本語でひとこと!」と促されると、観客席のほうに向かって「カミサマハワタシノチカラデス!」と笑顔で叫んでいました。

さすがのタイガースファンも一瞬とまどったのか、ワーッと歓声があがるまで少し間がありました。
テレビを見ていた私も、脳内で「神様は私の力です」と変換されるまでに少々時間がかかってしまいました。ファンへの一言に神様の存在がすんなり出てくるところが、さすが一神教文化圏の人であります。

「誰か、『お客様は神様です』っていう日本語を教えていて、『お客様は私の力です』って言いたかったんじゃないの?」と夫が言うので、そうかなあとも思ったのですが、あのいかにも直訳したような言い回しが、妙に頭の隅に残ってしまっていました。

それからしばらくして、日本語の達者な在日アメリカ人の知人に会う機会がありましたので、さっそく聞いてみました。「GodかLoadか、powerかstrengthか分からないのですが、有名な言葉ってありますか?」

すると「ああ、"The Load is my strength"ですね!新約聖書に出てきます。有名な言葉です」とのこと。やっぱり。私がヒーローインタビューのエピソードを話すと、「アメリカだったらみんな知っている言葉だから、もっと盛り上がったと思いますよ」とも言われました。

ちなみにアメリカでは、競技の枠を超えた、スポーツ選手のクリスチャン団体があるそうです。へー。「もしかしたらそういう活動をしている選手かもしれませんね」とのこと。

その後、ネットをあれこれと調べていたら、同じくタイガースのマートン選手のサイトにたどりつき、スタンリッジ投手からのメッセージが掲載されているのを発見。野球の話かと思ったら、後半は神様のお話でした。ほんとにThe Load is my strengthだ。すごい。
ちなみに両選手はアームバンドも作っておられるようです。

こちらのマートン選手のサイト、初心者向けの聖書のお話(分かりやすい)まで載っているという充実ぶり。
去年の秋、マツダスタジアムに対タイガース戦を見に行ったのですが、3塁側の特等席(砂かぶりシート)にいたタイガースファンの人に一人ひとりサインをしてあげていたのが印象的で、「ええ人じゃ」と思っていたのですが、ここまで熱心な信者さんだとは知りませんでした。



↑試合前。

なんにせよ、信仰のある人生というのは(いろんな宗教がありますが、一般的には)いいものだと思います。その熱心さがちょっとうらやましくもあります。

懸案事項の扱い方

  • 2012.04.25 Wednesday
  • 19:31
10年来の知り合いのメンバーから聞いた話です。

ある日、そのメンバーは地域集会の会場予約をしようと、いつも利用している公共施設を訪れました。
施設では、利用希望日の3ヵ月前から予約を受け付けているのですが、かならず窓口に足を運んで手続きをしないといけません。
平日の朝にはなかなか都合がつかず、とはいえ50人程度がいちどに集まることができる部屋を確保しないといけないということで、当番になったメンバーは、お休みの日の朝、受付開始時間よりも前に施設に到着しました。
その日は土曜日で、予約などの手続きは嘱託職員の方が担当されることになっていました。

ところが、開始時間が近づいてきても一向に窓口が開く気配がありません。
希望日が取れなかったら、またみんなに連絡をして日程を調整しないといけないのに…と、やきもきしていたところへ、やっと担当の方が現れました。

鼻歌を歌いながら、ゆうゆうとメンバーの前を通り過ぎたそうです。

「…長く働こうと思ったら、あれぐらいにゆったり構えておかないと勤まらないんだろうなーって思ったんよ」と、苦笑いしながら話してくれました。

そのときは一緒に笑って話を聞いていたのですが、つい先日、似たようなことが私にも起こりました。

私たちのグループでは、病院の患者さんやスタッフをまじえてのミーティングを月に1回のペースで行っていますが、近々ミーティングの時間を変更できないかどうか、担当スタッフの方と交渉をしていました。
グループ側の希望はすでに電話で伝えており、4月の病院ミーティングの場で、スタッフからの返答をお伺いすることになっていました。電話連絡をした本人は出席できないので、代わりに私ともう一人のメンバーが結果を聞く約束でした。

というわけで、ミーティング当日。
開始まで少し時間があったので、スタッフさんへのあいさつの後、「ところで例の件ですが…」と切り出しました。
しかし、電話は受けていないとのお返事。
私と同席したメンバーはお互いに顔を見合わせました。電話連絡をお願いしたメンバーは、用件をうっかり忘れるような人ではありません。かといって、当の本人に連絡をとって確認することもできません。
スタッフの方も「私も忙しくて席を空けていることが多いし、メモが行き違いになってしまったのかもしれませんね…」と言われました。押し問答になっても仕方が無いので、その場でグループからの希望の時間帯をあらためて伝え、打ち合わせをしました。

その後ミーティングは予定通り進んだのですが、私は頭の隅っこで「うーん、おかしいなあ。彼女(電話連絡を請け負ったメンバー)だったら、もし伝言をお願いした後になんの返答もなかったら、もう一度電話をするタイプなんだけどなあ」などと考えていました。

さて、ミーティングが終わって、スタッフの方が部屋を出ようかとドアに手をかけた時。
不意に「あっ!」という声が、さほど広くない部屋中に響きわたりました。

「思い出しました!電話、ありました!みなさんの希望の通りでOKですと返事をしてました!すみません!!」

ふだん物腰も口調も落ち着いた方なので、大きな声とあわてた態度に、私たちはキョトンとしてしまいました。

その後、お互い笑いつつ、ちゃんと日程の確認をして一件落着となりました。
スタッフさんと別れた後、隣にいたメンバーが思い出し笑いをして「なんか印象が変わったかも」と一言。私はこの前のお話をふと思い出し「いや、あれぐらいでちょうどいいのかも」と、独り言のようにつぶやいてしまいました。

スタッフさんの名誉のために申しあげると、この一件はちょっとうっかりしてしまったのかもしれませんが、日ごろは私たちの活動にご理解ご協力くださっておられます。
仕事上、いろんな患者さんやご家族の方に対応されているわけで、その人のお話を聞く時と、別の人のお話を聞く時とでは、頭の中できっちり仕分けをする技術を身につけているのだろうと想像しています。

ちょうど書類をファイリングするのと同じで、Aさんと話をするときにはAさん用のフォルダーが記憶の引き出しから出てくる。Aさんとの時間が終わったらファイルを閉じて、しまう。そして次にBさん用のフォルダーを取りだす。仕事が終わったら、キャビネットをきっちり閉まって、オンとオフを切り替える…といった具合にです。

とくに医療とか福祉関係などのお仕事に就いている人は、そのようなトレーニングを積んでいるのではないかと思うことがあります。

私などは頭の切り替えがなかなか上手くできません。かつてはあれこれとフォルダーを取り出して、広げっぱなしにして積み重ねては、オロオロして勝手に混乱するタイプでした。
以前に比べれば物事の優先順位がつけられるようになってきましたが、その時の懸案事項がずーっと頭から離れないことはしょっちゅうありますし、やっぱり得意なほうではないと感じています。

私たち12ステップグループの人間がよく口にする言葉のひとつに「気楽に気長に、だがやろう」というスローガンがありますが、気楽に気長にやり続けるには、その人の性格や特性に合ったやり方がそれぞれあるのでしょう。今の私に「鼻歌を歌いながらタスクをこなせ」と言われても無理だし。
そして、時と場合によっては、他人の手助けを素直に求めたほうがいいということも、忘れないでおこうと思っています。

宮島に行ってきました

  • 2012.04.15 Sunday
  • 20:01
まだギリギリお花見に間に合いそうだったので、ちょっと足をのばして宮島に行ってきました。
せっかくなのでOAメンバーも声をかけることにしました。
朝起きてから決めてもいいように、「来れる人はお昼1時に現地集合で」とお願いしました。昨日思いついてメールしたにもかかわらず、2人からOKのお返事をいただきました。

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厳島神社をお参りしていたら、能舞台のほうから謡(うた)が聞こえてきました。

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明日(16日)から能舞台が催されるとのことで、そのリハーサルをしていたようです。

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立ち止まって、舞をしばし観賞。ちょっと得をした気分でした。

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参拝のあとは紅葉谷公園を抜けて遊歩道を通りました。
葉桜になっている木もあって、もうこの一両日で見納めでしょう。桜吹雪が陽の光に反射して、とてもきれいでした。

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アセビの花。

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もう新緑の季節ですね。

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遊歩道のあちこちで、まったりとくつろぐ鹿さんに会いました。

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↑何匹いるでしょう?

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一人で行ってもいいやという気でいましたが、グループの仲間と一緒に散策できてうれしかったです。
事前の予約やダンドリが必要な企画だと体調によっては参加しづらい人もいるでしょうが、今日のような「安い、近い、短い」集まりなら気軽でいいもの。

今度は紅葉の時期に出かけてみようと思います。

あと5分

  • 2012.04.12 Thursday
  • 23:54
昨日夕方にスマトラ沖で地震がありました。タイには何度も訪れていますので心配でしたが、さいわい大きな被害はなかったようです。

私がタイに初めて旅行したのは、あの大津波から2年後の2006年でした。
プーケットの市街地には、避難経路を示す真新しい標識があちこちに建てられていましたし、離島に観光に行った時には、海岸に大きな岩が打ちあげられたりしていて、津波の脅威を感じたものです。

昨晩は現地でお世話になったスキューバダイビングのガイドさんが、Facebookで報告をしてくださっていました。
もともと地震の少ない地域だったので、8年前の災害の時には住民のみなさんも「地震が起こったら高いところに逃げなければいけない」という認識がなく、そのことが被害をより大きくしてしまったそうです。しかしこのたびは前回の教訓を生かし、街も混乱することもなく、落ち着いて過ごしたとのことでした。
これから余震が続くかもしれませんが、とにかく大過なく済んでほしいと思います。

ところで、タイでダイビングをした時には、よく若いダイバーとご一緒させてもらいました。

大学の休暇中に遊びに来ている人もいて、その中に「日本人なら誰でも知っている」という大学に籍を置いている男の子がいました。
本人みずから大学の名前を口にすることはなくて、スタッフの方がこそっと教えてくれたのですが、あまりにもメジャー過ぎて、聞いたときには夫婦そろって「へー」と声をあげてしまいました。
彼はぜんぜんガリ勉タイプには見えません。
いや、あれぐらいの大学になるとガリ勉だけでは通用しないのかも。運動神経という言葉があるように勉強神経というものもあって、ああいう人はきっと勉強神経が良いんだろう、などとひとりで連想していました。

さて、後日ダイビングを終えてバスの乗り継ぎのためにバンコクへ立ち寄った時のことです。
時間つぶしに近くのスターバックスに入ったところ、その彼にバッタリ出会いました。彼は先にお店に入っていて、テーブルに本と筆記用具を広げていました。

ダイビングショップで話をしたときには、もう少し滞在するようなことを言っていました。夫が「あれ?もう(日本に)帰っちゃうの?」と尋ねると、ひょうひょうと「いやー、もうちょっと居ても良かったんですけど、ゼミの先生が『顔を出したら単位をやるぞ』って言うんで」との返事。

おたがいバスの時間があったので、軽く立ち話をしたあと簡単なあいさつをして別れたのですが、そのあとで彼のつぶやいた独り言が印象的でした。

「あと5分、何をしようかな」。

こま切れの時間を無駄にしないことが習慣になっているような言い方でした。
大学の名前だけで判断するわけではありませんが、それなりの(というか、かなりの)努力を払わないと入学できないところ。勉強神経も良いのでしょうが、それ以上に時間の使い方が上手なのでしょう。
彼としては何気ないひとことだったのでしょうが、ハッとさせられました。

あれから2年以上経ちましたので、彼も就職しているはず。きっとうまく時間をやりくりして仕事をこなしていることでしょう。
彼から学んだ「あと5分なにをしようかな」の発想はまだ満足に実践できていませんが、地道に積み重ねていくことが苦手な私にはちょうどよい考え方なので、これからも大切にしていこうと思っています。

草の花 (福永武彦)

  • 2012.04.09 Monday
  • 19:02
私はけっして読書家ではないのですが、ときおり読み返す本がいくつかあります。

草の花 福永武彦 新潮文庫

この小説をはじめて手に取ったのは高校生の時でした。
当時、某社の高校生向けの通信教育を受けていたのですが、国語のテキストには、毎月いろんな方がおすすめの小説をとりあげてコラムを執筆していて、そこに紹介されていたのが『草の花』でした。
「若い時に読んだからこそ心に残る作品というものがある。これもその一つだ。もしまだなら、ぜひ今のうちに読んでほしい」というような事が書かれてありました。

その少し前にも、現代文の先生が(別の作家の本でしたが)「これは学生のころに読んでおけ。大人になって読んだら『だからどうした』としか思わないから」と、まったく同じような言い方をしていたこともあって、ならばそういうタイプの小説は今のうちに読んでおこうかと思ったわけです。

この筆者の意見は大正解でした。私もあの年頃のときに読んだから、今でも好きな作品として心に残っているのだと思います。もし社会に出てしばらくして読んだのなら、主人公の青臭さや頭でっかちなところが鼻について「そりゃあ、そういう人生の選択になるよなー」としか感じなかったでしょう。

お話は戦前から戦後にかけての日本。
主人公の汐見が自身の半生をつづったノートの内容が物語のメインで、登場する「私」は語り部の役回りです。舞台となるサナトリウムとか旧制高校など、はるか昔のように感じますが、まだそんなに前のことでもないんですよね。

70年近く前のこと、結核は私たちが思う以上に深刻な病気だったのでしょう。サナトリウムの中で、死と隣り合わせの患者は不安や恐怖、他人への嫉妬や羨望を抱えています。いっぽうで主人公の汐見はどこか悟ったような諦めたような様子で療養生活を送っていて、そんな汐見に「私」は関心を持っていきます。
手術の前、汐見は「私」に2冊のノートを読んでくれるよう言い残します。そのノートを「私」が読み進めていく形で本編は進んでいきます。

ノートは汐見の高校時代の出来事から始まります。
旧制高校ですからとうぜん男子校でして、たぐいまれな美少年の下級生が登場してきて、ギリシャ哲学の話が出てきて…という展開で、男性の方は読んでいて抵抗があるかもしれませんが、純文学ですのでそこはあくまで上品に描かれています。後半はちゃんと女性が登場します。

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今と違って、裕福な家庭か、もしくはとんでもなく頭が良くないと高校や大学に行けなかった時代とはいえ、昔の学生さんたちは、まあいっぱい本を読んでいたもんだ、真面目だったんだなあ!と感心します。
とくに汐見とクリスチャンのガールフレンドが信仰について議論を交わすくだりがあるのですが、そこまでこねくり回して考えていたら、そりゃあ疲れるでしょう。信じる、信じないなんて頭で決めるものじゃないもの。

今回読んでいて、あっ!と思ったところ。
ガールフレンドとの議論に疲れた汐見が、アパートの窓から下界を見下ろす場面があります。
窓の外には「鉄道線路が幾筋も横に走って」いて、「その向うは、街並みが汚らしい屋根屋根を並べ、工場の煙突が煙を吐き出し、海が鼠色に霞んで見え」ます。そして汐見は「僕の心も、その風景のように汚れていた」と嘆きます。

あなたの心がどうなのかはわからない。でも、あなたにはただ汚れているとしか見えない風景のなかで、その汚らしい屋根の下や工場の中で、たくさんの人が一所懸命働いて、生きているんだけどな。

主人公は「これを捨てたら自分の生きる意味がなくなってしまう」という考え方を捨て去ることができなくて、それが悲劇を招いてしまうのですが、今回この街並みの描写を読んで、真・善・美をひたすら追い求めるあまり、人間の持つ泥臭い部分を受け入れられなかったのかなあ…とも思いました。
「僕は一人きりで死ぬだろう」と独白するいっぽうで、こつこつと自らの半生を書きとめ、もうひとりの人間に託していった主人公の気持ちを想像すると、なんともせつなくなります。

こんな考え方だからうまくいかないのは分かってる⇒でも変えられない⇒自分の人生に不具合を起こしてしまった、てなことは私にもありました(私の場合はとくにメンタルにきました)。彼ほど崇高な思いはありませんでしたが、気持ちは分からないでもありません。

文体はとても読みやすく、日本語っていいなあとあらためて感じさせてくれます。高校時代に友人に文庫本を貸したときに「翻訳小説を読んでいるような文章」と感想を言われましたが、たしかにこんなふうに訳せたらどんなにいいだろうと思います。できないけど。

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タイトルの『草の花』は新約聖書の一節からとられています。キリスト教の知識があれば、物語をより深く味わえるのでしょうね。

サクラサク

  • 2012.04.05 Thursday
  • 22:52
今月に入って、ようやく桜が咲き始めました。

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あれから一週間、きれいに咲きました。

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一昨日はたいへんな春の嵐が吹き荒れましたが、なんとかしのいだようです。
もし例年どおりに開花していたら、お花見を楽しむひまもなく散っていたかもしれません。

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夜桜見物にはまだまだ寒いですが、この週末は宮島も平和公園もお花見客でいっぱいになりそうです。

ヒアリングができない!

  • 2012.04.04 Wednesday
  • 23:43
2年前にアメリカに行った際に、私が目標としていたのが「コンビニでもミーティングでも、思いきって自分から話しかけてみよう」ということでした。

コンベンションの会場では、受付後に渡されるネームカードが参加証のかわりになります(最近、会社員の皆さんも身分証明証をホルダーに入れて首からぶら下げていますが、あれと同じ要領です)。
そこにはファーストネームとともに、どこの国からの参加なのかが明記されているのですが、"JAPAN"という表示を目ざとく見つけた方々から、よく話しかけられました。

ここで痛感したのは、私のヒアリング力の無さでした。

声をかけられるタイミングは、たいてい私が一人でロビーにいるときでした。
一人でいる⇒英語が分かるだろう、と判断してのことでしょう。いや、私もまったく分からないわけではないのです。しかしながら、会話がスムーズに続きません。
私が相手の目と口元をじーっと見ながら必死に聞きとって、冷や汗をかきかき答えていると、一服して戻ってきた夫が話をつなぐ…というのがいつものパターンでした。

会話そのものは、中学高校で勉強していればほとんどは理解できるはずの内容なのですが、とにかく聞きとれないのです!これまで(英語ネイティブの)在日外国人の人と話したことは何度もあったのだから…というわずかな自信はまたたく間に崩れ去ってしまいました。
これまで、まがりなりにも話が続いたのは、相手が非英語圏の人たちのために、限られたボキャブラリーで、しかも明瞭な発音で話してくれていたおかげだったことが、やっと分かりました。

「相手が言ったことを100パーセント聞き取ろうとするから無理があるよ。英語って大事な単語を強調して言うでしょ? そこを拾っていけばいいと思うよ。こっちがゆっくり言えば、向こうも合わせてくれるし」というのが夫のアドバイスでした。
ホテルでもテレビをつけて、起きている間じゅうとにかく英語を聴くようにしたのですが「なんだかちょっと聞きとれるようになってきたかも…」と思えてきた頃には、コンベンションも終了。

すべての行事が終わって、私たちは会場近くのみやげ物屋さんに立ち寄りました。

せっかくたくさんのメンバーが話しかけてくれたのに。もっと会話ができたら、相手の地域のミーティングの様子とか、いろいろ聞いてみたかったのに…と残念に思いながら店内を物色していると、少し離れたところにいた夫が、はずんだ声で私を呼びました。
振り向くと、夫の隣に年配のアメリカ人男性が立っています。私たちと同じようにネームカードを首から下げたままにしていました。

「日本のどこから来たの?」という会話から始まって、「広島? ああ、私はむかし、岩国にいたんですよ!」という会話の流れになったそうです。
相手の方は退役軍人さんで、戦後間もなく岩国の米軍基地に勤務されていたとか。進駐軍、と言われていた頃ですね。

その頃の日本はどうでしたか?とたずねると、「poorだったねえ…」としんみりとした口調で言われました。基地からのおみやげにと近所の人に牛肉を持っていくと、大喜びされたそうです。

そんな戦後から60年以上経ったわけですが、その方に「ところで、お酒を止めて何年ですか?」とたずねると、なんと1959年から(!)という答えが返ってきました。
長い人生のこと、お酒を飲んでいた若いころの体験よりも辛いできごとが、きっとあったはずなのに…。

そういう方が"one day at a time"とおっしゃると、すごく重みがあります。

奥様とご一緒でしたが、とても幸せそうでした。
50年先かあ〜…と、はるか先のことは考えずに、目の前の一日一日を積み重ねていきたいとあらためて思いました。

それはそれとして、やっぱり英語をもっと勉強しなければ…。

新年度がスタートしました。

  • 2012.04.02 Monday
  • 23:12
今週から環境が一変した方もたくさんいらっしゃると思います。知らず知らずのうちに気をつかっているもの。早めにちょっとずつ息抜きして過ごしましょう。

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半月ほど前はまだ固いつぼみでしたが、今にも咲きそうです。

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柳の葉もこんな感じ。

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さてさて、夕方も日が長くなり、走るにはうってつけの季節になりました。
この冬はあまりにも寒くてロクに走っていませんでしたが、これまでも積み重ねがあったのか、インフルエンザやひどい風邪を引かずに済みました。
快適に走れるのは梅雨前までのせいぜい2カ月でしょうが、これからもゆっくり楽しみながら走ろうと思います。

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