知り合いのアメリカ人から聞いたのですが、いちど登録を済ませると、日本に住んでいても州知事や議員の選挙のための投票用紙が郵送されてくるのだそうです。この秋に行われる大統領選挙も投票権があるのだとか。アメリカ人は世界中に散らばっているとはいえ(軍隊の人たちとか)、徹底してるなあと思いました。
さて、今日のお話は、私たち夫婦がアメリカのAAイベントに出かけた、2010年の夏にさかのぼります。
Rさんと出会ったのは、サンアントニオのコンベンション会場でした。
コンベンションでは、いくつもの部屋に分かれてワークショップが開かれていました。日本から参加したメンバーも日本語ミーティングを担当していました。
プログラムの終盤、日本人メンバーの質問に流暢な日本語で答えてくれたアメリカ人の男性がいました。外見からして、日系の方のようでした。
ワークショップ終了後、私や夫は顔見知りのメンバーと雑談していたのですが、ふと振り向くと、さきほど質問に答えてくれたメンバーがおだやかな表情で立っていました。すかさず夫が話しかけてあいさつを交わし、そばにいた日本人メンバーにも声をかけて、なごやかな談笑が始まりました。人見知りの私は、夫の手際の良さにいつもながら「へー」と感心してしまいます。
その方、Rさんはロサンゼルスからこのコンベンションに参加されていました。
ちょうどランチタイムだったので、皆で昼食を頂こうという話になったのですが、なにしろ5万人以上(!)もの皆さんがほぼ一斉に会場周辺に繰り出しているわけですから、どこのレストランも満員です。結局、それぞれ少人数に分かれて食事をしようということになりました。
そして、偶然というか何というか、いつのまにか私と夫は、さきほど出会ったばかりのRさんと一緒にお店を探すことになったのです。Rさんは前日にあちこち散策したらしく、近くのビルの中にフードコートがあるのをご存知でした。私たちはそこで昼食をとることにしました。
Rさんは私たちを気づかってくれて、日本語でコミュニケーションをとってくれました。お見受けしたところ、年齢は私より上、夫より少し下といった感じでしょうか。物腰がとても落ち着いていて、かといって老けこんでいるわけではなくて、むしろ若々しさがあります。AAメンバーって、年齢不詳な人が時々居るけれど、アメリカでも同じなのかなあと思いながら、夫とRさんのやりとりを聞いていました。
話題は、私たちの今後の予定へと移りました。
帰りの飛行機はロサンゼルス発の便を予約していたこともあり、せっかくの機会なのでロスに3、4日滞在する予定でした。Rさんは「ホテルはもう決まっていますか?ロスのどのあたりですか?」と聞いてこられました。ロサンゼルスと言っても広いです。いくらRさんが住んでいるといっても、現地で会うのは無理だろうなあと思っていたら、住所と日程を確認したRさん、
「大丈夫ですね。では一緒にミーティングに行きましょう」
と、たんたんとした口調で誘ってくださいました。
い、行きましょうって・・・と一瞬キョトンとした私に、「大丈夫、ぼくが車で迎えに行きますね」と穏やかな笑顔で念押し、もとい、確約されました。
夫は「いやー、うれしいなあ。神様に感謝ですねえ!」とニコニコしています。ああそうか、こういうときは流れに任せたほうがいいのね。
後日、Rさんには、地元のミーティング会場を2か所ほど案内していただきました。ミーティングの後にはRさんのスポンシーも一緒に食事の時間を取ってくれたりなど、コンベンションで会っただけなのに、こんなにしてもらっていいのかなと思うくらいでした。私たちは旅行中の身分だったけど、Rさんは昼間仕事をしながら段取りをしてくれたわけですから。
Rさんの落ち着いた立ち居振る舞いを拝見して、「きっとAAにつながって長いんだろうねえ」と夫婦で話していたのですが、お伺いしたところ、20年以上のソーバーでした。ああやっぱり。
私もいつかは、あれぐらい悠々と構えていられるのかなあ?
今みたいに、スーパーのレジの行列でオバちゃんに割り込まれたぐらいで「むむっ」と思っているぐらいでは、道のりは遠い気がします。