美しい?野菜ジュース(または20代に試した無謀なダイエットのこと)
- 2011.08.21 Sunday
- 17:34
鍼の先生から、「毎食、意識して野菜を積極的にとるようにしたらいいですよ」とアドバイスされました。
しばらく焼きナスやおひたしを繰り返し食べていたのですが、なんだか飽きてきたので、ながらく使っていなかったミキサーを引っぱりだして、ジュースにして飲んだりしています。
キャベツやレタスをベースに、小松菜を少し入れます。甘みをつけるためにハチミツかリンゴ、バナナを投入して、スイッチオン。
できあがりはジュースと言うよりも緑色のどろどろした不気味な液体という感じですが、便秘気味の私にはこのどろどろ(食物繊維)が合っているみたいです。
毎日必ず!などと決めずに、気が向いたときにガーッとミキサーにかけて飲んでいるのですが、ふと、20代のころにひたすら野菜ジュースを飲んでいた時期があったことを思い出しました。
もう15年以上前のことになるでしょうか。ある女性向け雑誌に、独特なダイエットを実践している女性がエッセイを連載していました。
その方はたしか作家だったと記憶しています。
ある時、彼女は古くからの知人とひさかたぶりに会うのですが、糖尿病を患っていたはずの知人がすっかり回復し、しかも会食のときに口にしていた食べ物や食べ方が、世間で常識とされている糖尿病患者への指導とはかけ離れたものだったことに驚愕します。
やがて彼女はその知人を治療した臨床医のもとをたずね、食餌療法を聞き取り、自分なりにアレンジして実践しはじめます。
彼女が「アレンジ」し、不特定多数の読者に披露していたダイエット、食事のガイドラインとは、次のようなものでした。
・米、砂糖、イモ類、豆類は一切ダメ。炭水化物で食べて良いのはパスタや「酵母と塩と小麦粉だけで作られた」パン。
・そのかわり、たっぷり摂っても良いのは、油と塩。良質なバターやエクストラバージンオリーブオイル、天然塩など。
・青菜類はいくら食べてもよい。でもキャベツは(なぜか)ダメ。
・牛乳はぜったいダメ。
・1日2〜3リットルのミネラルウオーターを飲む。塩分補給として、天然塩をたっぷり。
これを、ひたすら毎日くりかえすのです。
そうすると、毎食(毎日じゃないよ、毎食だよ)便通があるそうです。その便もケチャップ状なのが望ましいのだそう。
この女性作家は、このダイエットのおかげで身体も快調になったばかりではなく、人生に対してもとってもポジティブになれたのだとか。
当時の私は、「○○だけダイエット」や「××式ダイエット」をとっかえひっかえ試していて、そのうちにキレて過食嘔吐に走る、ということを繰り返していました。
某女性雑誌(大手出版社の20代向けの女性雑誌で、現在も刊行されています)の連載ページには品の良い挿し絵があしらわれていたり、外国由来の野菜や高級食材が紹介されていて、非常におしゃれな印象を受けたのをおぼえています。連載記事は好評だったようで、単行本にもなりました。
もちろん、私も飛びつきました。単行本も買ったし、雑誌の連載も読みました。今度こそうまくやってやろうと思って。なんたって、ヤセることで人生がポジティブになるんですもの。
まずはオリーブオイルや天然塩、バターを調達。糖分や添加物の入っていないフランスパンや天然酵母のパンは近所のスーパーやコンビニでは売っていませんので、わざわざ街中のパン屋さんまで出向きました。そして菜っ葉を毎日せっせと買い込んでは、ミキサーをガーガー鳴らして野菜ジュースを作り、ミネラルウォーターに天然塩をごそっと入れてがぶがぶと飲み続けました。
なにせ食材にこだわるダイエットなので、けっこうなお金がかかりました。でも過食嘔吐のために使う食費に比べたら、いいことに使うんだからと思って続けたのです。
でも、3ヶ月ぐらいのものだったかなあ?結局挫折したんですよ。ダイエット法にかなったパンを売っているお店が、毎日通うには少し遠かったんです。それで数日分を買い置きしていたのですが、これが悪かった。ついにある日、長ーいフランスパンを丸ごと1本、バターをこってりなすりつけながら平らげてしまいました。
過食嘔吐を続けて、空腹・満腹の感覚も、身体が何を欲しているのか分からなくなっているのに、そこへ持ってきて極度に炭水化物を避けた、偏った食事をしていたら、そりゃあキレますよね。
ところでこのダイエット、ある事件のために急速にすたれてしまいます。
肝心の提唱者である彼女自身が倒れ、急死してしまったのです。
くだんのダイエット方法が死因に直接関係したのかどうか分かりませんが、低血糖による急性心不全とも、多臓器不全とも言われています。
当時の女性週刊誌は彼女の著作をもじって「世にも恐ろしいダイエット」という見出しで彼女の訃報を伝えていました。
その頃、長年の過食嘔吐のために心身ともに不調をきたしていた私は、心療内科の待合室で週刊誌を読みました。ギョッとしました。
記事には、彼女はもともと持病があって薬を処方されていたのに、ダイエットにはまりこむあまり、自分の判断で断薬をしていたとも書かれてありました。良質な食材にこだわるあまり、ケミカルな物質をいっさい拒否するようになってしまったのかもしれません。
さらにその週刊誌は、彼女が師と仰いでいた医師にコメントを求めていました。
いわく、「あの食事方法はきちんとした医師の指導と管理のもとでやるべき一種の療法で 素人が独断でやるものではないのですが・・・」という主旨だったと思います。そりゃあそうだ。その医師はエッセイ連載中から実名を公表することを固辞していました。とばっちりを受けなくて良かったですね。
いまでも、新手のダイエット法がつぎつぎと出てきては、メディアで紹介されています。需要と供給があるかぎりなくならないでしょう。
たしかに、極端な食事療法を実践して健康な身体や精神を手に入れる人もいると思います。
ひとりでもそういうひとが居るなら、事実だからということで宣伝になるんです。
でも、私みたいに食べ物や食事に強迫的で、人との関わりよりも何よりも、食べることが人生の第一の目的になってしまうような人間には向かないですね。
常識でものを考えることもとても大事だと思います。そして、自分がちょっとでも「えー??」と疑問に感じたら、手をださないほうが無難でしょう。
おいしく楽しく、ほどほどに・・・が一番だと思います。
しばらく焼きナスやおひたしを繰り返し食べていたのですが、なんだか飽きてきたので、ながらく使っていなかったミキサーを引っぱりだして、ジュースにして飲んだりしています。
キャベツやレタスをベースに、小松菜を少し入れます。甘みをつけるためにハチミツかリンゴ、バナナを投入して、スイッチオン。
できあがりはジュースと言うよりも緑色のどろどろした不気味な液体という感じですが、便秘気味の私にはこのどろどろ(食物繊維)が合っているみたいです。
毎日必ず!などと決めずに、気が向いたときにガーッとミキサーにかけて飲んでいるのですが、ふと、20代のころにひたすら野菜ジュースを飲んでいた時期があったことを思い出しました。
もう15年以上前のことになるでしょうか。ある女性向け雑誌に、独特なダイエットを実践している女性がエッセイを連載していました。
その方はたしか作家だったと記憶しています。
ある時、彼女は古くからの知人とひさかたぶりに会うのですが、糖尿病を患っていたはずの知人がすっかり回復し、しかも会食のときに口にしていた食べ物や食べ方が、世間で常識とされている糖尿病患者への指導とはかけ離れたものだったことに驚愕します。
やがて彼女はその知人を治療した臨床医のもとをたずね、食餌療法を聞き取り、自分なりにアレンジして実践しはじめます。
彼女が「アレンジ」し、不特定多数の読者に披露していたダイエット、食事のガイドラインとは、次のようなものでした。
・米、砂糖、イモ類、豆類は一切ダメ。炭水化物で食べて良いのはパスタや「酵母と塩と小麦粉だけで作られた」パン。
・そのかわり、たっぷり摂っても良いのは、油と塩。良質なバターやエクストラバージンオリーブオイル、天然塩など。
・青菜類はいくら食べてもよい。でもキャベツは(なぜか)ダメ。
・牛乳はぜったいダメ。
・1日2〜3リットルのミネラルウオーターを飲む。塩分補給として、天然塩をたっぷり。
これを、ひたすら毎日くりかえすのです。
そうすると、毎食(毎日じゃないよ、毎食だよ)便通があるそうです。その便もケチャップ状なのが望ましいのだそう。
この女性作家は、このダイエットのおかげで身体も快調になったばかりではなく、人生に対してもとってもポジティブになれたのだとか。
当時の私は、「○○だけダイエット」や「××式ダイエット」をとっかえひっかえ試していて、そのうちにキレて過食嘔吐に走る、ということを繰り返していました。
某女性雑誌(大手出版社の20代向けの女性雑誌で、現在も刊行されています)の連載ページには品の良い挿し絵があしらわれていたり、外国由来の野菜や高級食材が紹介されていて、非常におしゃれな印象を受けたのをおぼえています。連載記事は好評だったようで、単行本にもなりました。
もちろん、私も飛びつきました。単行本も買ったし、雑誌の連載も読みました。今度こそうまくやってやろうと思って。なんたって、ヤセることで人生がポジティブになるんですもの。
まずはオリーブオイルや天然塩、バターを調達。糖分や添加物の入っていないフランスパンや天然酵母のパンは近所のスーパーやコンビニでは売っていませんので、わざわざ街中のパン屋さんまで出向きました。そして菜っ葉を毎日せっせと買い込んでは、ミキサーをガーガー鳴らして野菜ジュースを作り、ミネラルウォーターに天然塩をごそっと入れてがぶがぶと飲み続けました。
なにせ食材にこだわるダイエットなので、けっこうなお金がかかりました。でも過食嘔吐のために使う食費に比べたら、いいことに使うんだからと思って続けたのです。
でも、3ヶ月ぐらいのものだったかなあ?結局挫折したんですよ。ダイエット法にかなったパンを売っているお店が、毎日通うには少し遠かったんです。それで数日分を買い置きしていたのですが、これが悪かった。ついにある日、長ーいフランスパンを丸ごと1本、バターをこってりなすりつけながら平らげてしまいました。
過食嘔吐を続けて、空腹・満腹の感覚も、身体が何を欲しているのか分からなくなっているのに、そこへ持ってきて極度に炭水化物を避けた、偏った食事をしていたら、そりゃあキレますよね。
ところでこのダイエット、ある事件のために急速にすたれてしまいます。
肝心の提唱者である彼女自身が倒れ、急死してしまったのです。
くだんのダイエット方法が死因に直接関係したのかどうか分かりませんが、低血糖による急性心不全とも、多臓器不全とも言われています。
当時の女性週刊誌は彼女の著作をもじって「世にも恐ろしいダイエット」という見出しで彼女の訃報を伝えていました。
その頃、長年の過食嘔吐のために心身ともに不調をきたしていた私は、心療内科の待合室で週刊誌を読みました。ギョッとしました。
記事には、彼女はもともと持病があって薬を処方されていたのに、ダイエットにはまりこむあまり、自分の判断で断薬をしていたとも書かれてありました。良質な食材にこだわるあまり、ケミカルな物質をいっさい拒否するようになってしまったのかもしれません。
さらにその週刊誌は、彼女が師と仰いでいた医師にコメントを求めていました。
いわく、「あの食事方法はきちんとした医師の指導と管理のもとでやるべき一種の療法で 素人が独断でやるものではないのですが・・・」という主旨だったと思います。そりゃあそうだ。その医師はエッセイ連載中から実名を公表することを固辞していました。とばっちりを受けなくて良かったですね。
いまでも、新手のダイエット法がつぎつぎと出てきては、メディアで紹介されています。需要と供給があるかぎりなくならないでしょう。
たしかに、極端な食事療法を実践して健康な身体や精神を手に入れる人もいると思います。
ひとりでもそういうひとが居るなら、事実だからということで宣伝になるんです。
でも、私みたいに食べ物や食事に強迫的で、人との関わりよりも何よりも、食べることが人生の第一の目的になってしまうような人間には向かないですね。
常識でものを考えることもとても大事だと思います。そして、自分がちょっとでも「えー??」と疑問に感じたら、手をださないほうが無難でしょう。
おいしく楽しく、ほどほどに・・・が一番だと思います。
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