南の島の酔っぱらい

  • 2008.06.20 Friday
  • 20:03
タイの離島に旅行した時の話。

その島には、私たちのようなダイバーだけではなく、バックパッカーも大勢訪れます。通貨の関係もあるのでしょうが、圧倒的に欧米人が多かったです。

夕方になると街角のコンビニにお客さんの列ができます。氷や、ジンやウォッカの瓶を抱えた観光客が並びます。島にもバーはあるし、飲み代も知れているのですが、安く済ませたいようです。

滞在中、ある外国人観光客にたびたび声をかけられました。「いつものことだけど、友だちを作るのが早いね」と感心すると、ダンナは苦笑いしながら「違うよ。昨日、ダイブショップのスタッフさんとコンビニに行った時に、向こうから話しかけられたんよ」と言われました。

その男性は、夕方になるとたいていコンビニの前のベンチに陣取り、飲み友達と喋っていました(夕方とはいえど涼しくはありません)。彼はかつて日本で働いていたそうで、カタコトの日本語で私たちに話しかけてきます。日本人を見かけて懐かしくなったのでしょう。でも、話の内容を彼が覚えているかどうかは私には疑問でした。というのも、彼はいつもお酒を手にしていて、明らかに周りの飲み友達より酔っていたからです。

欧米人は日本人に比べ、はるかにお酒に強いです。千鳥足で歩く人なんて滅多にいないし、顔にも出にくいです。でも彼の目はいつもトロンとしていました。その日もトロンとした目で、ダンナに「タバコイッポン、アル?」と尋ねたのでした。

ある朝、コーヒーを飲みに入った店で、昨晩と同じ出で立ちの彼に出くわしました。彼は私たちを見て「やあ」と挨拶をすると、おもむろにポケットからウィスキーの小瓶と、トニックウォーターの缶を出し、注文したモーニングセットを食べ始めました。

別の日の昼間は、ダイブショップの外国人スタッフと、浜辺でフリスビーをしていました。ダイビングに向かう私たちを見つけてニコニコしています。ダンナはボートに乗り込みながら「ありゃあ、運動してアルコールを(身体から)抜いとるんよ」と苦笑しながら言いました。

私は彼を見ていて、しらふになったら大人しいタイプだろうなあと思いました。その島にはミーティング会場はなかったけど、彼に会うたびに分かち合いをさせてもらった気がします。彼はもう帰国したでしょうか。元気かなあ。まだ私より若そうなんだけど。

縁ありまして

  • 2008.06.16 Monday
  • 15:16
私のダンナとはAAで知り合いました。

私たちが付き合い始めた時、彼はソーバーが1年未満でしたし、私はグループにつながったものの、症状が止まってもいませんでした。きっと陰では心配したり面白がったりしていたメンバーが少なからずいたことでしょう。

おかげさまで、この夏で8年目に突入します。今ではアホらしいのか、誰も何も言わなくなってしまいました。二人揃って態度がでかくて口が立つのも原因かも。

私は小さい頃から父親のお酒の飲み方が大嫌いで、「お母さん、私はお酒を飲む人とは絶対結婚しないからね!」と言っていました。そんな私もしっかりアルコホリズムを引き継ぎ、「昔は大酒飲みで、今の所飲んでいない」ダンナと出会いました。

彼は一時期居酒屋に勤めていたこともあり、料理は私より上手です。魚もサッサとおろせます。今では「ダンナ作る人、私は皿洗い」になってしまいました。これも、摂食障害の私には不思議な巡り会わせだと感じます。彼の手料理はさすがに吐けませんでした。

この前ダイビングに行った時、ツアーで一緒になった人達と夕食を食べに行きました。そこでダンナが雑談の中で「実は僕は、船乗りになりたかったんですよ」と言ったのです。

そんな話は、二人の時には聞いたことがありませんでした。私が覚えていないだけだったのかもしれませんが、ちょっと驚いてしまいました。

というのも、私の父が外洋専門の船乗りだったからです。

偶然と言えるほどのものではないかもしれないけれど、何だか不思議だなと思いました。

ダイビングではボートを利用することが多いです。面倒な仕事はスタッフの方々がされるのですが、波や天気は毎日変わるし、陸上と勝手の違う事も多く、いつも大変だなあと思いながら見ています。

最近、ダイビングの休憩時間に、船の上からボーッと海を眺めるのが好きになりました。父親の仕事場とは、船の大きさも日数も、海況も違うけれど、「そうかー、うちのお父さんは家で寝てるか飲んでるだけだと思っていたけど、結構大変だったんだなあ」と思ったりしています。

ダイビングはダンナの3年越しの説得でようやく折れたのですが、こうして海に関係した趣味を始めることになったのも、何かの縁かもしれませんね。

こちらの事情

  • 2008.06.14 Saturday
  • 11:23
このたび転職しました。

決断するまではウダウダと悩んでいたのですが、辞職願が受理されてからは手続きで忙しく、いつの間にか気持ちの切り替えも出来ていました。

さて、仕事を辞めるにしてもお金がかかります。
これまで住民税はお給料から天引きされていましたが、今後当分の間は自分で納めなければいけません。社会保険料もあるし、この際支払っておこうと計算したところ、「私って、こんなに稼いでたっけ?」という金額になってしまいました。

というわけで、貯金を解約するために郵便局に行きました。
窓口の女性に証書を渡したところ、その女性は証書をジッと見つめた後、顔をあげて無表情で私に向かって尋ねました。
「あのー、これは何かに使われるんでしょうか…」
相手は私の事情など知るよしもありません。マニュアル通りに声をかけたのでしょうが、ついつい

「こんど仕事を辞めるんで、色々物入りなんですよねッ」

と言ってしまいました。

窓口の方は当惑した表情を浮かべて処理を始めました。

しばし気まずい空気が流れた後、現金が出されました。

が、お札を見て、私の下がりかけたテンションのメーターがまた振れてしまいました。

「すみません、この二千円札、千円札で頂けないんですか?使い勝手が悪いんですけど。」

小さい郵便局だったので、他の局員さんがチラッとこちらを伺いました。ああ…。

プンプンしながら郵便局を後にしてしばらく、前の勤務先へ書類を投函するのをすっかり忘れていました。やはり短気は損気です。かといって先程の郵便局に行くのも気が引けたので、もう一つ先の郵便局へ向かいました。

「エクスパックを1枚下さい」と言うと、窓口の男性が笑顔で「ハイ、500円ですね」と応えました。

財布を見ると小銭がありません。「こんな事なら、さっきの二千円札を貰っていてもよかったなあ」と思いながら、千円札を差し出しました。

すると、その窓口の男性は笑顔のままこう続けました。

「1000円ならもう1つ買えますが、いかがですか?」

今度は腹も立ちませんでした。今日は間が悪い。力無く「いやー、結構です。」とぼそぼそと返し、宛名を書き、書類を詰めました。

帰り道にドッと疲れました。

郵便局も大変だなあ。

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