想像のつかない世界のことを考える

  • 2013.02.04 Monday
  • 23:54
このブログの右側に貼り付けているサンフレのブログパーツ、しばらく空欄だったのですが、今日見てみたら試合情報が掲載されていました。プロ野球もキャンプ情報がニュースで見られるようになりましたし、春が待ち遠しいです。

さて、今年は読書の年にしよう!と勝手に決めたものの、新しい習慣はなかなか身につかず。昨日やっと2冊目を読み終えました。

悪者見参 ユーゴスラビアサッカー戦記

旧ユーゴスラビアのサッカー紀行文かと思って手に取ったのですが、NATO空爆前後の旧ユーゴ圏の様子と、そこに暮らすサッカー選手やサポーターを追いかけた渾身のルポルタージュでした。

最初は読んでいても国や都市の場所がわからなくて、地図(2001年当時の表記なので、すでに国名が変わっているのですが)や登場人物の解説を読んでは本文に戻り、ということを繰り返していたのですが、人の名前は「なんとかビッチ」さんがあまりにも多かったので、途中で流し読みに変更。

日本で生まれて、戦争も知らなくて、日本人の中で生きてきた私には、想像してもしきれない世界がありました。

個性的なサポーターさんたちが何人か登場するのですが、なかでも印象に残ったのが、第二次世界大戦の占領下で収容所に送られ、家族を亡くし、唯一の生きがいをサッカーに求めたおじいちゃん(あの空爆でも見事に生き残ったそうです)。そして、地元クラブの過激なサポーター集団に所属することで、自分がクロアチア人であることを証明しようとした青年。日本人がイメージする「サッカーが好きな人」をはるかに越えちゃった人たちなんです。もうほんとにサッカー「しか」ない。だって、ゴール裏で飛び跳ねている威勢のいいあんちゃんたちが、有事の際には義勇軍として突撃するんですよ。もう想像がつきません。

本筋とはちょっとそれてしまいますが、私がとても共感した文章があったので引用させて頂きます。

(148〜149ページ)
日本では欧州コンプレックス丸出しのサッカー評論家がよく言う。
「Jリーグは厳しさが足りない。ヨーロッパでは試合に負けると、どんなスター選手も怖くて表を歩けないのです。サポーターが敗戦や二部落ちを暖かく迎えるなどという態度が、日本サッカーの強化を遅らせているのです」
欧州のサポーターの過激さを何の猜疑心もなく持ち上げる発想の何と貧困なことか。
社会的に抑圧されてきた若者たちの捌け口として存在するフットボールが確かにある。しかし、それは果たして幸福なことだろうか。

(中略)

旧ユーゴでは自民族の意識発揚のための代理戦争としてのフットボールがあった。
それは『文化』というよりも民族問題と密接に絡んだ業のようなものだ。「全民衆防衛制度」のおかげで、すべての青年男子が武器の扱いを知っている。だからサポーターが民兵になることは何の造作もないことだ。造作もなく民兵になるということは、造作なく死んでいくということだ。バイスたちが暴れる背景には彼らしかわからぬ哀しさが綿々と流れている。

(引用ここまで)

筆者は1994年に長良川競技場で現役時代のストイコビッチのプレーを見たのがきっかけでユーゴスラビアのサッカーに魅了されたのだそうです…が、それにしても、その熱意はどこから来るのだろう?という体当たりの取材が続きます。コソボで虐殺が起これば現地へ足を運び、NATO軍の空爆が始まればセルビアへ飛び、空爆が終われば今度は劣化ウラン弾が打ち込まれたコソボへ、そしてコソボ解放軍の残党が支配する地域まで乗りこんでいって、司令官にインタビューまでやってのけてしまいます。文庫版のあとがきを本人が書いているのだから生きて帰ってこられているんですが、読んでいて何度もハラハラしました。

私はユーゴ紛争についての知識がほとんどありませんでした。NHKのドキュメンタリー番組や、内戦を題材にした映画をWOWOWでぐうぜん見たぐらいで、空爆前に旧ユーゴ側はコソボ問題について譲歩しようとしていたことや、空爆当時Jリーグに在籍していた旧ユーゴ圏の選手たちが日本で記者会見を行ったことも知りませんでした。予備知識がないと一度読んだだけでは分かりにくいところもあるのですが、読んで良かったと思いました。この本が出版されて12年。本に登場するサポーターや選手の皆さんが少しでも穏やかに暮らせているように願うばかりです。

ストイコビッチ監督は革靴で50m先のゴールへボレーシュートした人というイメージしかなかったのですが、まさかあんなに大変な思いをしてきたとは存じ上げませんでした。グランパスの試合、見に行ってみようかなー。…もちろん、応援するのはサンフレですけどね。
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