夜店のベビーカステラ

広島では、この週末に「とうかさん」という大きなお祭りがありました。
「とうかさん」は浴衣の着初めのお祭りだそうで、私もいつかは浴衣を着て歩きたいなあ、とは思いますが、まだ叶っていません。

私の生まれ故郷にも、夜店の数も人手も遠く及びませんが、夏祭りがありました。母に手を引かれながら、夜店のひとつひとつが気になって立ち止まっていたものです。

この頃からすでにお菓子ばかりに目が向いていて、綿菓子やリンゴ飴が食べたくて仕方ありませんでした。
母にねだってはみるのですが

「すぐベタベタになるし、全部食べられないでしょ」

「中身はちっちゃいリンゴよ。それに、ベロが真っ赤になるよ!」

と怒られるばかり。トウモロコシやイカ焼きも「高い。」「足の先ばっかりじゃないの」と難癖をつけられて、絶対買ってもらえませんでした。
お許しが出たのは、せいぜいカキ氷と、遊びであれば「風船釣り」ぐらいでした。なので、友だち同士で祭りに行ける年頃になると、お小遣いで真っ先に「禁じられていた食べ物」を買って食べました。

さて、現在の私が、露店で見かけると必ずといっていいほど買ってしまうのが「ベビーカステラ」です。
これも小さい頃に行った縁日に由来します。

毎年、神社の石段を上りきったところに必ずベビーカステラの屋台があって、熱気の中をテキ屋のおじさんがせっせと焼いていました。
屋台の前には卵の殻が、自分の頭の上までうんと積み上げてあって、それがオレンジ色の灯りに照らされていて、あたりに漂う甘い匂いとともに、強く印象に残っているのです。

とっても食べたかったのですが、母にねだったところ、これまた

「あの殻は、宣伝で積んであるんよ。あんなに卵は使っとらん」

と断られて、買ってもらえなかったのです。

幼児期にかなえられなかった物事って、けっこう尾を引くもんですね。
コメント