ヒアリングができない!
- 2012.04.04 Wednesday
- 23:43
コンベンションの会場では、受付後に渡されるネームカードが参加証のかわりになります(最近、会社員の皆さんも身分証明証をホルダーに入れて首からぶら下げていますが、あれと同じ要領です)。
そこにはファーストネームとともに、どこの国からの参加なのかが明記されているのですが、"JAPAN"という表示を目ざとく見つけた方々から、よく話しかけられました。
ここで痛感したのは、私のヒアリング力の無さでした。
声をかけられるタイミングは、たいてい私が一人でロビーにいるときでした。
一人でいる⇒英語が分かるだろう、と判断してのことでしょう。いや、私もまったく分からないわけではないのです。しかしながら、会話がスムーズに続きません。
私が相手の目と口元をじーっと見ながら必死に聞きとって、冷や汗をかきかき答えていると、一服して戻ってきた夫が話をつなぐ…というのがいつものパターンでした。
会話そのものは、中学高校で勉強していればほとんどは理解できるはずの内容なのですが、とにかく聞きとれないのです!これまで(英語ネイティブの)在日外国人の人と話したことは何度もあったのだから…というわずかな自信はまたたく間に崩れ去ってしまいました。
これまで、まがりなりにも話が続いたのは、相手が非英語圏の人たちのために、限られたボキャブラリーで、しかも明瞭な発音で話してくれていたおかげだったことが、やっと分かりました。
「相手が言ったことを100パーセント聞き取ろうとするから無理があるよ。英語って大事な単語を強調して言うでしょ? そこを拾っていけばいいと思うよ。こっちがゆっくり言えば、向こうも合わせてくれるし」というのが夫のアドバイスでした。
ホテルでもテレビをつけて、起きている間じゅうとにかく英語を聴くようにしたのですが「なんだかちょっと聞きとれるようになってきたかも…」と思えてきた頃には、コンベンションも終了。
すべての行事が終わって、私たちは会場近くのみやげ物屋さんに立ち寄りました。
せっかくたくさんのメンバーが話しかけてくれたのに。もっと会話ができたら、相手の地域のミーティングの様子とか、いろいろ聞いてみたかったのに…と残念に思いながら店内を物色していると、少し離れたところにいた夫が、はずんだ声で私を呼びました。
振り向くと、夫の隣に年配のアメリカ人男性が立っています。私たちと同じようにネームカードを首から下げたままにしていました。
「日本のどこから来たの?」という会話から始まって、「広島? ああ、私はむかし、岩国にいたんですよ!」という会話の流れになったそうです。
相手の方は退役軍人さんで、戦後間もなく岩国の米軍基地に勤務されていたとか。進駐軍、と言われていた頃ですね。
その頃の日本はどうでしたか?とたずねると、「poorだったねえ…」としんみりとした口調で言われました。基地からのおみやげにと近所の人に牛肉を持っていくと、大喜びされたそうです。
そんな戦後から60年以上経ったわけですが、その方に「ところで、お酒を止めて何年ですか?」とたずねると、なんと1959年から(!)という答えが返ってきました。
長い人生のこと、お酒を飲んでいた若いころの体験よりも辛いできごとが、きっとあったはずなのに…。
そういう方が"one day at a time"とおっしゃると、すごく重みがあります。
奥様とご一緒でしたが、とても幸せそうでした。
50年先かあ〜…と、はるか先のことは考えずに、目の前の一日一日を積み重ねていきたいとあらためて思いました。
それはそれとして、やっぱり英語をもっと勉強しなければ…。